[烛光生存狂]-【翻译练习】6ヵ国協議の裏に隠された中国の真意

　北朝鮮が4月14日に突如、6ヵ国協議からの脱退を宣言したことで、日本を含めた周辺諸国に動揺が走っている。

　6ヵ国協議は、中国現代史にとって、大変意義深いものだ。というのは、中国は建国以来、国連への参加を除いては、自らが多国籍間の国際問題の「行司役」を買って出ることはなかった。それを2003年に発足したばかりの胡錦濤政権は、前例を打ち破って、日・米・ロという周辺の大国を遍く北京に呼び寄せることに成功したからだ。

　当時、北朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」と呼び、手始めにイラク戦争に突入していった米ブッシュ政権は、北朝鮮に関して、胡錦濤政権に「踏み絵」を迫った。

　すなわち、アメリカを取るのか、北朝鮮を取るのかという二者択一だ。これに対して、苦悩の果てに中国が捻出した「創造的外交」が、6ヵ国協議だったわけだ。中国外交部の知人は、自慢げに言ったものだ。

　「アメリカは満足、北朝鮮も満足、ロシアも日本も韓国も異存なし。6ヵ国協議は、まさに中国外交が創った‘芸術作品‘だ」

　だがこの外交官は、冷静沈着な面持ちで、こう付け加えるのも忘れなかった。

　「この‘芸術作品‘は氷でできている。つまりゆくゆくは溶けてなくなるだろう。でも一定期間、展示されればそれでいいんだ。手本にしたのは、『会議は踊る』と言われたウィーン会議だよ」

　これを訳せば、以下のようになる。すなわち、北朝鮮が核開発を放棄するなどということはあり得ないので、いつか必ず破綻がやって来る。だがそれまでなるべく長く保つのが大事だ。ちょうどナポレオン動乱の後、ヨーロッパ各国が結論も出ないまま、ずるずると続けたウィーン会議のように。

　6年経ったいま、事態はこの中国人外交官の‘予言‘通りになった。私は再度、彼に、「氷は溶けてきたけど、どうする気だい？」と訊いてみた。外交官曰く、

　「知らなかったのかい？　あの『氷の作品』は、チビでデブの独裁者をかたどっていたことを。そのモデルが痩せ衰えてきたんだから、物語の終幕はハッピーエンドに決まっているじゃないか。ただし、もう同じようなモデルは二度と使わないよ」

　これも訳せば、以下のようになる。いや、敢えて訳す必要もないだろう。

　一つ言えるのは、中国はこの15年間というもの、この隣国の暴君に相当気を遣ってきたということだ。いつ訪中するのも自由で、かつ訪中時に中国共産党のトップ9人が全員集合して迎えるというのも、この男に対してだけだ。その意味では、いま一番ホッとしているのは、実は議長国の中国なのかもしれない。（執筆者：近藤大介　明治大学講師）

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